三重県伊勢市に位置する「二見浦」は、伊勢神宮の参拝の時に訪れたいところだ。二見浦のシンボルともいえるのが、「夫婦岩」。沖合に並んで立つ大小2つの岩が、大しめ縄で結ばれており、まさに夫婦が寄り添う姿のよう。この大しめ縄より海側の領域が神の領域、手前、陸側が人間の領域だそうだ。古来より「夫婦円満」「縁結び」「家内安全」の象徴とされ、多くの観光客やカップル、夫婦に親しまれてきた。

 

この夫婦岩は、二見興玉神社(ふたみおきたまじんじゃ)の神域内にある。神社自体は、猿田彦大神を主祭神とし、道開きの神、すなわち人生の導き手として知られている。伊勢神宮に参拝する前に、心身を清める「禊(みそぎ)」の場として、古くから重要な役割を担ってきた。

実際、江戸時代には多くの人が伊勢神宮への「お伊勢参り」をする前に、まずこの二見浦で身を清める「浜参宮(はまさんぐう)」を行ったと伝えられている。現在でも「禊体験」を行う団体もあり、精神修養や自分と向き合う旅のスタート地点として選ばれることもあるようだ。

また、夫婦岩の間から昇る朝日は特に人気の絶景ポイント。特に夏至の前後には、太陽がちょうど夫婦岩の間から昇る様子が見られ、多くのカメラマンや参拝客が訪れる。晴れた朝、静かな海と太陽の光に包まれながら過ごす時間は、まさに心洗われるひととき。

どうしてこのような、ある意味では”奇岩”がうまれたのだろうか?
中央構造線
実は、この一帯には、中央構造線が通っているのだ。
中央構造線は、日本列島を縦断する非常に大きな断層で、関東から九州にかけて広がり、西南日本の地質構造を二分する境界線として知られている。形成の歴史は約1億年以上前にさかのぼり、プレート運動に伴うズレや変化を経て現在の形となった。

断層付近では地質が大きく異なり、北側と南側では見られる岩石の種類が異なることが特徴。また、一部の地域では活断層として再び活動を始め、地震の原因となることもある。中央構造線沿いには地層や岩石が露出している場所がたくさんあり、訪れてみる価値がありそうだ。

中央構造線に関連する地質現象は、全国各地で自然の驚異を見せてくれる。特に以下の奇岩や岩石群が注目されている。

  • 大歩危・小歩危(徳島県吉野川): この地域の岩は三波川変成帯に属しており、断層活動による独特の形状が魅力的。
  • 二見浦の夫婦岩(伊勢市): 見事な石柱が海岸に並び、地殻の動きと浸食が作り出した自然の芸術といえる。
  • 蓬莱岩(和歌山市): 三波川変成帯に属し、中央構造線の断層活動の影響が感じられる巨岩。