うどんは日本人にとって子どもの頃から最も馴染みのある食べ物と言えよう。ただ、全国にはさまざまなご当地うどんがあって、その特徴は随分と違うようだ。

 

コシのある讃岐うどん、出汁が香る関西風うどん、喉越しの良い稲庭うどんとそれぞれ人気があって甲乙つけがたい良さを持っている。

 

そんななか、伊勢うどんは、これらのうどんとは一線を画す、独特な魅力を持ったご当地うどんである。これまでは、伊勢うどんの知られざる歴史や特徴、またその奥深い味わいを知らなかった。神宮参拝の際にはもちろんだが、自宅でも楽しめる伊勢うどんの魅力をお伝えしたいと思う。

 

伊勢うどんの歴史
~江戸時代から続く庶民の味~
伊勢うどんの歴史は古く、江戸時代に遡る。伊勢神宮への参拝客をもてなすために、地元の農民たちが自家製のうどんを振る舞ったのが始まりと言われている。当時、伊勢神宮への参拝は庶民にとって一生に一度の特別な旅だった。長旅で疲れた参拝客のために、消化が良く、手軽に食べられるうどんは重宝されたのだ。伊勢うどんは、神宮周辺の宿場町を中心に広まり、庶民の味として親しまれてきた。

 

伊勢うどんの特徴~ふわふわ、もちもちの極太麺と濃厚たまり醤油~
伊勢うどんの最大の特徴は、その独特な麺にある。一般的なうどんと比べて極太で、まるで赤ちゃんの肌のように柔らかく、もちもちとした食感が特徴。この独特な麺は、小麦粉を練り上げ、長時間熟成させることで生まれる。茹で時間も長く、一般的なうどんよりも時間をかけて茹でることで、より柔らかく、もちもちとした食感になる。

 

そして、伊勢うどんの味を決定づけるのが、濃厚なたまり醤油を使ったタレなのだ。たまり醤油は、一般的な醤油よりも濃厚で、独特の甘みとコクがある。このたまり醤油に、鰹節や昆布などの出汁を加えて作られたタレは、伊勢うどんの麺によく絡み、奥深い味わいを生み出す。

 

伊勢うどんの食べ方~シンプルながら奥深い味わいを楽しむ~
伊勢うどんの食べ方は、非常にシンプル。茹でた麺に、たまり醤油のタレをかけ、ネギなどの薬味を添えるだけ。シンプルながらも、麺の柔らかさ、たまり醤油の濃厚さ、薬味の風味が絶妙に絡み合い、奥深い味わいを楽しむことができる。

 

伊勢うどんは、温かい状態で食べるのが一般的だが、冷たい状態で食べるのもおすすめ。冷たい伊勢うどんは、麺のコシが少し増し、また違った食感を楽しむことができる。今年のような猛暑の時は冷たい伊勢うどんがいいかもしれない。

 

伊勢うどんの薬味~定番から変わり種まで~
伊勢うどんの薬味は、ネギが定番だが、その他にも様々な薬味がある。
ネギ: 伊勢うどんの定番薬味。ネギの風味が、たまり醤油のタレによく合いう。
刻み海苔:海苔の風味が、伊勢うどんの味わいを引き立てる。
生姜 : 生姜の辛味が、伊勢うどんのアクセントになる。
かつお節:かつお節の風味が、伊勢うどんに深みを与える。
卵:卵を絡めて食べると、まろやかな味わいになる。
最近では、ラー油や七味唐辛子などの薬味を加えて、ピリ辛にアレンジするのも人気。